昨日と今日の2日にわたり、スタジオを予約して私の朗読CD第2弾の録音のために、スタジオにこもった。
この録音は、終生残るものだけに、私もやや神経質になっている。
第2弾は菊池寛の「恩讐の彼方に」CD2枚組。
このことは、もう何度もブログで書いている。
この作品の朗読の練習も、ここ数年にわたって続けて来た。充分に仕上がっている。
昨年4月3日、練馬の観蔵院というお寺でこの「恩讐の彼方に」の朗読をやった。
当日は、4月というのに異例の寒い日。
みぞれ混じりの雨と風の中、150名もの方々がお寺に来て下さった。あの日の事が思い出される。
この皆様に、何とお礼を申し上げて良いか分らない。
この皆さんが、私の朗読を支えてくださっている有難いお客様なのだ。
あの日のご出席名簿を見ながら、つくづくそう思う。
さて、菊池寛は私の郷里(四国高松市)の大先輩。
人後に落ちない郷里自慢の人。
地元には、菊池寛通りもあれば、記念館もある。
ゆかりのある遺族の方々も沢山いらっしゃり、文豪菊池寛の人物像についての研究は、私は誰にも負けない環境にあった。
その上、私は「恩讐の彼方に」の舞台ともなった耶馬渓(やばけい)や山国川も訪れた。
菊池寛は文豪と申し上げたが、もう1つの別な顔がある。
あの文芸春秋社の創業社長。経営者なのだ。
親友芥川龍之介のために、今に残る「芥川賞」を創設した人でもある。
今年の芥川賞は、ご高齢の女性が受賞なさったことが話題だ。
作品は「abさんご」。
かなり特殊な難解な文章という。いずれ読んでみよう。
菊池寛は本来戯曲家だけに、小説の中でも文中のセリフが図抜けて巧みでリアルだ。
このセリフをどう活かすかが、朗読のポイントとなる。
これがポイント1。
次に間(ま)が充分に取れるかどうか。
私は菊池寛の作品の朗読を聞いて「これは、うまい!」と舌を巻くような間(ま)を取っている人を見たことがない。
菊池寛の作品は、活字や言葉以上に、行間の余情に意味がある。
この作家の文体の特殊性を見抜けば、その朗読は当然間(ま)が欠かせない。
これがポイント2。
さて、どんな朗読CDに仕上がるか。
録音は今日で終ったが、2月半ばには出来上がる。
スタジオで協力してくれたディレクターが
「小林さん、CD2枚組では約45分余白が出ますよ。菊池寛の何か別な作品を録音することも出来るんですが・・・。」
との提案。
私は、急遽「藤十郎の恋」を録音した。
これは「恩讐の彼方に」同様、いやそれ以上に間(ま)が勝負。
今、こんな間(ま)を取った朗読をする人は、たぶん誰もいないだろう。
間(ま)には、私は秘かに自信がある。
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※2013年2月17日追記
2枚組CD『恩讐の彼方に』が完成いたしました。
現物を取り寄せたい方は、2000円+送料200円でお届けします。
CD第1弾の『山月記』と一緒にご注文の場合も、送料はまとめて200円のみです。
ご希望の方は、右サイドバーにありますメールフォームよりご連絡ください。
お待ちしております。
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小林大輔先生
初めてメールいたします。私はボランティアで小学校へ読み聞かせに行っていますが、なかなか上手にならず「朗読」で検索したところ幾人かのブログがありましたが、その中に昔テレビで見ていた先生のお名前がありました。現在は毎日先生のコメントを楽しみにブログを拝見しております。
つきまし手は「山月記」「恩讐の彼方に」のCDを購入致したく送金方法等連絡下されば幸いです。
553-0003 大阪市福島区福島8-4-11 川原孝善