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花盛り朗読






O・ヘンリー作「賢者の贈り物」

Posted by 小林大輔 on 04.2017 日記 0 コメントを投稿
私の学校の国語の教科書の中にあったアメリカの作家、O・ヘンリーの作品「賢者の贈り物」を、ふと思い出したのは、今から7年も前だったでしょうか。

あの見事なばかりの「すれ違いの思いやり」をテーマとした若い夫婦が登場するこの作品は、きっと朗読するにふさわしい古典だ、と直感したものです。

しかもこの作品の価値を決定付けたのは「賢者の贈り物」というタイトルです。
誰が翻訳したのか知りませんが、むしろ堅くてこなれない「賢者」と言う言葉こそ、この作品全体を支配しており、日本語による出色のネーミングだったとしか言いようがありません。

そう思って、懐かしいO・ヘンリーの著作「賢者の贈り物」を借り出すために、私はいそいそと練馬図書館に向かったときのことを今も思い出します。

生憎、図書館には本はなく、わずかにCDがありました。

賢者の贈り物


私はこのCDを聞いて、びっくりしました。危うく腰を抜かしそうになりました。
このCDは、O・ヘンリーが伝えようとした情緒もニュアンスもない原文直訳のまま。一言で言うなら誠に稚拙な翻訳ではありませんか。

O・ヘンリーの名作を、こんな原文直訳のまま出版しているCDに、私はあきれ果てました。

しかも、この朗読を担当している女優の、朗読のまことにマズいこと。これではまるで素人です。
この作品を朗読するなら、間と、情緒と、アメリカの不況時代の雰囲気が欠かせないのですが、そんなものはこの朗読にあろうはずもありません。

よくこんな配慮のない製品が商品として流通しているものだ。
私は腹立たしくなってきました。
このCDの製作者たちは、およそ原作のすぐれた文学性や、「朗読」とは何たるかを、ご存じないまま、朗読のCDとして機械的に制作した、としか言いようがありません。
1番罪が深いのは、このCDを制作したプロデューサーとディレクターでしょう。

よくこんな未整備、不完全な商品を世に送り出して恥ずかしくないものです。
また公立の図書館も、こんなレベルの低いCDを配慮も吟味もないままに、図書館を利用する人に貸し出しているものです。

ここに、私が制作した朗読用の台本、O・ヘンリーが書いた「賢者の贈り物」があります。
この文章には、翻訳臭さは完全に姿を消しています。

外国の作品をわが国で紹介する時(特にその作品を朗読する時)、翻訳臭さが1番のガンとなります。
外国の文学作品を日本で朗読しにくい最大の理由は、おしなべてこの翻訳のマズさにあります。
かつての上田敏のように、日本文学を知り尽くした上で、外国のすぐれた文学を翻訳する人はいないものでしょうか。

きっと、私の朗読用台本なら、原作者のO・ヘンリーも、自分の作品が、日本でこのように紹介され、朗読されていることに、草葉の陰から喜んでくれているはずです。
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