花盛り朗読




2つの朗読会の比較

Posted by 小林大輔 on 03.2017 日記 0 コメントを投稿
9月の最終日の30日(土)。
私は地下鉄三ノ輪駅で下車して、樋口一葉記念館を訪ねました。

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記念館の研修室で行われる朗読会に、私の存じている朗読者が出演するので、それを見てみようと言うのです。

私は、その人の朗読には、ある難点があることをかねて知っていました。
難点とは、上品で穏やかな人柄のせいでしょうか、朗読の声にボリュームがやや乏しいのです。

しかし、私の知っているのはおよそ5年前のこと。
今回、一葉記念館の研修室に出演し「十三夜」を朗読すると言うのですから、かつての難点、弱点と思われていた部分も、この人が所属している朗読団体からの教育を受けて、きっと改善、克服されているものと思い、下町・龍泉まで足を運んだのです。

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私は、朗読者の力量は、まずその朗読者に「声量」があるかどうか、その一点でほぼ推し量れると思っています。
ステージに立って朗読を披露する人の「声量」は、特にそうです。

朗読者にとって朗読には一番何が必要ですか?
と、尋ねられたら、間違いなく
「それは声量でしょう。肉声の温かみ、声の迫力でしょう…」と答えます。

ステージに立ち、お集まりいただいた目の前のお客様を感動させるには、朗読者は朗々と響く、活力ある肉声がどうしても必要なのです。
そして、その「声量」は訓練で鍛えられます。

樋口一葉記念館の研修室の観客は、補助席含めてたかだか80名です。
しかも閉鎖された狭い会場です。
この会場でも、ステージ下にマイクを立てています。
朗読者の声量の足りない分は、このマイクで補おうと言うのでしょう。

しかし、このマイクがあっても、今日の朗読者の声はマイクが充分に拾いません。
多分、リハーサルのときのマイクの調整が思うようにいかず、本番のボリュームが適切でなかったのでしょう。

しかし、マイクの調整がどうあろうと、たかだか80名程度のお客様です。
お客様が聞き耳を立てなくても、朗読者は会場中のお客様全員の耳に、無理なく伝わる声量を持っていなくては、ステージに立つ朗読者としては失格です。
厳しいですが、私はそう思います。

ひるがえって、10月2日(月)、私の原宿の朗読会でのことです。
今月のゲストは、私の敬愛する朗読者・古屋和子さん。プロ中のプロです。

今回、彼女はいつもの重厚な作品と異なり「ペーパー・バック・プリンセス」と「ジョセファ」というカナダに伝わる民話、昔話の2作品を語りました。
もちろん、マイクなど無しです。
マイクなどなくても、彼女の声は会場中に朗々と響き渡ります。

しかも、彼女の場合は台本も手に持ちません。
このため表情も、ジェスチャーも、目や体の動きすべてが自分が語る朗読を補完します。
「ああ、これでこそプロの朗読…」
と、私はそう思ったものです。

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もう一度言います。
朗読者に最も必要なもの。
それは「声量」です。
そして声量は適切な訓練によって、確実に向上します。

脆弱な声のままの朗読では、お客様を感動させることはできません。
このことをよく知っていてください。
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